テレビ塔 悲しみの痕跡を見る

  • 2020年5月6日
  • 2020年5月6日
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Laba diena! こんにちは。

筆者がリトアニアに興味を持ちはじめたころ、リトアニアを訪ねたら必ず行きたいと思う場所が何箇所かありました。今回ご紹介するのは、その中の一つ、テレビ塔です。

 街の中心から5キロほど離れた場所にあり、その高さは約326.47メートル、165メートルのところに展望台とレストランがある、ちょっとした観光スポットとなっている。筆者がこの場所を訪れたかった理由は、この場所が1991年1月に起こった「血の日曜日」事件の現場だったからです。

「血の日曜日」事件は1991年1月のソ連末期、独立運動が高まるリトアニアにソ連軍が侵攻した際、テレビ塔を守っていたリトアニア市民に向かって進み、非武装の14名のリトアニア市民が死亡、約700名が負傷した事件を指します。この事件はとてもリトアニア人に衝撃を与え、悲しみとどうしようもない怒りを覚えたと筆者の知人は言います。

この事件の他にも、理不尽でたくさんの悲しい出来事がありましたが、リトアニアを始め、バルト三国の国々はあくまで武力を伴わないスタイルを貫き、1991年9月6日ソ連からの承認をもって、独立を果たしました。

このテレビ塔には、事件が起こったときの様子や亡くなった14名の写真などのパネル展示や彼らを弔うための十字架が建てられています。事件当時この場所でテレビ塔を守っていた人々は一体どんな気持ちでこの場所に集ったのか、武力のかわりに歌を歌った彼らの心境を思うとなんとも言えない気持ちになります。

ずっと訪れたいと願っていた場所ではありましたが、少し怖い気持ちがありました。過去の話とはいえ、この場所が「血の日曜日」事件が起こった現場であることを痛感したとき、自分がどのように感じるのか全く想像がつかなかったからです。しかし、結論から言えば訪ねることができてとても良かったと今では考えます。確かにここに命をかけて戦った人々がいたこと、今ある平和を勝ち取るために流れた血は決して無駄などではないこと、外国人である自分はそれらのことを胸に刻み、そして、人に伝え、思い出すことが彼らのために自分ができる唯一のことだと感じています。



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